★★★★★ 亡国のイージス

著者:福井 晴敏 
発行:講談社  
価格:695×2冊円 
出版:2002年07月


自衛隊の最新鋭艦が反乱する、というシナリオ。単純なテロというよりも、ミステリアスな仕上げを上下2冊で丁寧に、且つスピーディに書かれているので面白さノンストップです。

書店のPOPに惹かれて買った本の当たり外れの激しいことに嫌気して、なかなか買えなかった本なんですが、この本は当り。是非ともに映画化に期待。三章を受賞した長編小説です。読み応えも申し分ない。

洋画「ザ・ロック」というニコラス・ケイジとショーン・コネリーの演じるストーリーと似ていますが、あのままでは面白くない。舞台を日本にして、日本ならではの展開であれば・・・という検討が随所にあって最初から最後まで一気に読める。徐々に明るみになる真実、深まる疑惑と混乱、そして最後に一気にクリアになるあたりは秀逸。

在日米軍基地で発生した惨事が発端となって、最新鋭のイージス護衛艦が暴走する、というストーリー。護衛艦ならではの内部事情と国家間の思惑と政治家、自衛隊、武力、自衛力、など色々あるけど一番記憶に残ったのは「自衛力とは、相手にミサイルを撃ち込まれたら、撃ち帰す用意が当方にもあることで初めて自衛力となる」という登場人物の弁。もっともなことで、最新ハイテク武器によれば、先制攻撃こそ最大の防御。そういう時代において、警備行動という名のもとに相手の攻撃を受けないかぎり威嚇射撃の域を出られない「自衛活動」は意味のないものになる。攻撃を肯定するわけではないが、攻撃力を持つことと、使用することは別である。平時は攻撃力をもてればよい。今の日本なら自衛隊と在日米軍が攻撃力に相当するが、実際に武器を使用するのは国家の意思として手続きを経て使用することになる。つまり政治主導である。しかし、現実に攻撃を受ける直前の状況が突如として現れた場合、政治による対応では遅きに逸することになる。

最近になって、ミサイル攻撃を受けたときに限って首相の権限で対応可能になることを検討しているというが、はやくしてくれないと困る。つまり、政治においても「先制行動」が必要となる。
ん!?ブッシュ支持者みたいなコメントになっている。別にこの本はブッシュ支持の本ではなく、戦争支持でもなく、日本のおかれた状況をもとにつくった小説です。しかし、大変面白く読めたのは、現実世界にぴたりとはまるところが多かったからですね。

お勧めですよ。