★★★★★ MADE IN JAPAN

著者:盛田 昭夫
発行:朝日文庫
価格:920円 
出版:1990年1月


 13年も前の本を読むに至ったのは、学生時代、この本のハードカバーを自費でしっかりと購入しながらも、その面白さを感じられなかった自分を思い出したから。書店で平積みに目が留まり、0.1秒でわしづかみ。そしてレジへ向かったのがきっかけ。

 内容はご存知のかたも多いと思いますのではしょります。表紙にある「わが体験的国際戦略」と、書名である「MADE IN JAPAN」がこの本の全て。天下国家を案じたかどうかは本人のみぞしるが、焼け野原の日本は、知財、教育水準、学者、勤勉な労働者といった高度成長に必要な要素は全て揃っているが、何もない状態。そんな日本から物語がはじまる。

 外国からしばしばいわれる「日本株式会社」というコンセプトは不適当として一刀両断。日本の成長は政治の支援によるものではないとして否定。重工業や化学工業と異なり、民生電機メーカーほど国家から軽んじられた扱いはないもので、勝手に競争し、自力で生き残ることが企業成長の必須だった時代。いまもそうではそうではあるが、一部の企業と農業・漁業を除いて「国」は何らの支援もしなかったのだから、盛田氏のコメントは当然のこと。

 戦後の経済成長と、戦前の暮らしに関して興味をもって色々本を読めば、色々なことが見えてくる。その目的に役立つ一冊でもあります。今からでも遅くない、お勧めですよ。